ほどき心理相談所
自閉症、落ち着きのない子、言葉の遅れなどの発達相談をしています。
不登校、ひきこもりなどの育児相談もしています。
その他、各種の心理的な問題についての相談を引き受けています。
ほどき心理相談所
千葉県長生郡
安藤則夫(臨床心理士、植草学園大学教授)
情緒は、大きく分けて3つ分けて考
えると分かりやすいと思います。
1つ は、精神の集中を促す情緒 で、注意を集中させるだけでなく、気持ちを固くさせます。このことによって、ひとつのことにコツコツ打ち込むことができます。しかし、こうでなけ ればいけ ないというこだわりを生み出します。
もう1 つは、精神の高揚を促す情緒で、テキパキとすべきことを実行するだけでなく、様々な刺激を多様に受け入れ独創的 なアイディアを生み出します。反面、落ち着きがなくなったり、しみじみとモノを感じたり考えたりができません。
最後の 1つは、欲求を充足したり、目標を達成したりしたときに「ああよかった」と気持ちをやわらげる働きがあります。この情緒は、くつろぎの気分をつくり、人に対する親密感・愛着を増します。こ のように 情緒を見ることで、わかりにくい行動が理解できるようになります。
自閉的な子は、あることに集中する 割にはくつろいだ気分になれないために、社会生活がうまくいきません。 ですから、人の生身の働きかけで活発に喜べるようにしながら、リラックスさせて、くつろいだ感じになるようにすることが大切です。情緒発達と自 閉 症
ADHDの子は、活発な割にはくつろいだり集中する気分になれないた めに、まわりとの協調が困難になります。 ですから、リラックスさせながら、こちらの話に集中できるようにすることが大切です。情緒発達と多動
不
登校やひきこもりの子の中には、活発さとくつろぎの気分がテキパキ と転換できないために、人とうまくかかわれないことがあります。 また、嫌な出来事があったために固まりやすくなってしまったという場合もあります。ですから、ジョークを言ったりしながら、気持ちをやわらげ、次第にテキパキと人とのやり とりを布締めるようにしていくことが大切です。
非行・反抗的な子の中には、人のも
とでゆったりと集中できないため に、受容ではなく反発が現われがちとなります。 大人でも、頭でわかっていても、不安になったり、気持ちが沈んだり、カッとなって暴力を振るってしまったりするでしょう。認知が十分 でないと言えばそうですが、それだけ感情の力が強いということです。 また、くつろぎの情緒が不足して、人に対する親密感が感じられず、非情な行為を行って しまう人たちも多いものです。
私達は、情緒の影響力をもっと認識して、情緒のダイナミックスや発達にそった働きかけをする必要があると思います。
時にはきちっと集中し、時には活発 に
かけひきを楽しみ、時にはくつろ いで心の交流を味わえるようになるためには、情緒の発達がしっかりできていることが大切です。 普通であれば、それほど考えなくてもいいのですが、情緒発達に弱さがある子の場合には、情緒発達の筋道をよく理解して働きかけることが大切です。
乳児期の初期に集中する心、活発に自己表現する心、人のもとでくつろぐ心の基礎が築かれます。ですから特に乳児期の情緒発達の道筋を理解して働き かけることが大切です。
乳児の情緒を簡単に見ると、次のようになります。
喜びは乏しいが泣きが強く現れる時期。新生児期です。
この段階にとどまると、普段はぼんやりした感じで、不快な時には強く泣くことになりがちです。
刺激に集中して緊張した喜びが表れる段階。1-2か月ごろ。
この段階にとどまると、好きなことにこだわり、集中して、周りのことに気がつかないようになりがちです。喜び方は、固い感じになります。
働きかけを期待して活発に喜ぶ段階。3-4か月ごろ。
この段階にとどまると、はしゃぎがちで落ち着きない行動を示しがちになります。何か失敗しても、深く反省することはありません。
期待した結果が現れてゆったりと喜びを表す段階。6-7か月ごろ。
この段階になると、安心感・満足感が現れるようになり、人とゆったりとつきあえるようになってきます。人との愛着関係・信頼関係を築き、社会性が伸びるためには、この時期に現れる「リラックスした喜び」が重要です。
目標に向かってがんばる時期。9-10か月ごろ。
この段階になると、目的をもって行動できるようになり、人とのやりとりを楽しめるようになります。
目標を達成して達成感を感じ、誉められて喜ぶ時期、1歳-1歳半ごろ。
この段階になると、目標を達成して「ヤッタ」と思えるようになり、誉められて喜んだり、自分にはこれだけのことができるのだという自信が育ってきます。
人に誉められること(お手伝い、言葉を話すこと、面白いことをすること)をするようになり、また人と共感したい気持ちから、自分の感動を人に伝えようとするようになる。1歳半-2歳ごろ。
・・・・・
自閉症の子は、生後1-2か月ごろの情緒発達段階に留まっているか、その段階の情緒が色濃く現れる状態と考えられます。ですから、情緒発達を促すように働きかければ自閉性は改善されていきます。特に自閉的な子には、「リラックスした喜び」を引き出すことが大切です。落ち着きのない子(ADHDの子)は、生後3-4か月ごろの情緒発達段階に留まっているか、その段階の情緒が色濃く現れる状態と考えられます。やはり、「リラックスした喜び」を引き出すことが大切です。
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アマゾンのキンドル版で本を出しました。自閉症の治療について詳しく書きまし
た。ただし、英語です。英語ができる方は、ぜひともご購読してください。
題名は、Emotional cure for autism です。
ここから見ることが出来ます。
著書の紹介
植草一世編著 安藤則夫・戸丸俊文・鈴木朱美著
「保育の表現活動 ことばを育む保育の素材・教材」学文社 2400円+税。
私は、「情緒発達から見たことばの発達」と「ことばの遅れと働きかけ」を書いています。
安藤則夫著「スクスク子育て:情緒発達から見た自閉症」学苑社 2310円
自閉症をどう見るかについて、分かりやすく書いてあります。
英語のホームページもあります。
アマゾンのキンドル版から、本を出版したした。
落ち着きのない子が落ち着けるようにするための働きかけを説明した本です。
「落ち着きのない子がゆったり出来る方法-ADHDの子も落ち着ける-」
220円ほどの値段です。